所感:
この本を読了してから、一番感じたのは「背伸びをしないこと」の大切である。実は簡単なようで難しいことの一つである。
また、松浦さんの文体や表現は柔からく、そして心地よく体にスッと染み込んでくる。
一見、肩の力の抜けたような言い回しが無責任のように感じられそうだが、そうではなくちゃんと自分の何かに訴えかけてくるかのような重みもある。本書でとくに自分が気に入った節を2つ紹介したい。
まずはp86の「会えたら会えたい」である。
ー見すると、あやふやではっきりとしない感情のようにも聞こえるが、実はそうではなく、ポジティブであるとハッとさせられた表現である。自分自身、この言葉はマイナスまではいかないが、言われた側にとって会っても会えなくてもどっちでも良い、くらいのどちらかというとネガティブな印象を持っていた。
ーー普通に「会いたい」と表現するよりも気持ちが強く、
ーーこの言葉の本質は「あなたのことが好きだから会いたい」だと思っている。
まさに言われてみたらその通りだなと思う。自分も言うべき相手、タイミングでこの言葉を言えるべく、普段からもっと周りの友達や家族を大事に思えるようにして行きたい。
気に入った節の二つ目はp144の「余白を作る」である。
これは自分がまさに今後意識をして行きたいと思っていることである。松浦さんにとって「余白を作る」とは、
ーー自分に入ってくる情報や刺激を抑えているというのかな。
ーーそして暮らしについても、頑張り過ぎないというか、全力を尽くさないというと誤解を生むけれど、八割くらいのちからしか出さないようにしている。とのことである。
ますます情報が溢れ、飛び交っている今の時代において、情報や刺激を抑えるということは、簡単なようでとても難しいことであると思う。人は常に周りを気にし、情報を収集しーーそれがたとえ無益な情報であっても常に何か情報に触れていないと不安になってしまう。自分自身もついtiktokやツイッター、インスタグラムなどSNSに没頭してしまい、いつの間にか時間が過ぎているなんてことは多々ある。そんな中でも常に自分の中に余白を作り、毎日起きるチャンスのためにパッと反応できるような元気さを身につけたい。そのためにも情報や刺激を抑える時間を作り、仕事においても頑張りすぎないよう、8割くらいの力を意識していきたい。
最後に、冒頭でも言ったことと重なるが、松浦さんは背伸びはせず、頑張りすぎずということを意識して生活をしている。それは本当に大切なことであり、結果的に自分のためだけではなく、周りの誰かにもつながることである。また、丁寧な生活や習慣を作ることの大事さにも改めて気付かされた。これからは頑張りすぎてしまわないように、力をぬきつつ、一つ一つに丁寧になれるように心がけて生きていきたい。